習うより慣れろは正しかったのか
私なりに、包丁やピーラーを使うあぴちゃんを継続的に見ていてなんとなく感じたことがありました。彼女は言っても言っても指を切らないように注意ができなかったのですね。それは彼女が注意力散漫で親の言うことが聞けなかったというのとは違う感じがしました。彼女は私から注意されるたびに気をつけていたのです。だけど、包丁を使う動きに、いまひとつ怖れの気持ちと慎重さが欠けていたのです。「その動きでは、こんな帰結(たとえば流血)が待っているよ。」というようなことを説明してもどうしてもイメージできていなかったようです。
私はこの件について、いろいろと考えてみたのです。たとえば包丁で一度も指を切らずして包丁を使えるようになる人がいるのかしら…とか。
そして結局、本当の意味で怖さを教えるには少し失敗させるしかないだろうと結論づけたのです。そのはずなのに、いざ怪我をすると、やるせなさと罪悪感から吐きそうになってしまいました。予想はしていたけど、まさか本当に、そんなにすぐ切るとは…。
ポーカーフェイスの裏で大泣き
漫画では心情をわかりやすく表現するために「ズドーン」としましたが、実際は眉ひとつ動かしていません。「自分でさせる」という私の方針に一ミリたりとも迷いを見せてはならないと思ったからです。しかし、実は心の中では激しく動揺し、大泣きしていました。
この大胆な対応は、くれぐれもマネはしてはいけないと思います。あぴちゃんは、そこまで大怪我はしないだろうという程度には包丁やピーラーをマスターしていましたので、目を離しました。結果として、彼女は包丁やピーラーをとても慎重に扱えるようにはなりましたが、とても危ない方法であることに間違いはないと思います。