ヨーロッパ行きの国際線ってけっこう過酷だから、いい大人である私も、乗る一週間くらい前にはぐっと心の準備をしてしまうほどには大イベントであるのですけれど、ふつうに子どもが乗ってて毎回びっくりするわけです。
すごいなぁ、と。辛いだろうなぁ、と。
今回も近くに、赤ちゃん連れのお母さんが乗ってて、なかなか大変そうでした。
しかし国際線の場合は、なかなか体が動かせないこと、子どもをあやす道具も豊富ではないこと等、純粋にアクセシビリティの問題がきついという感じで、刺すような視線や、迷惑だなぁという気持ちを飛ばしてくる狭量な存在、つまり日本独特の文化的な背景は感じ取れないことが多いので、周囲の人の状況を過剰に気にして苦しくなってしまう人って、まず見当たりません。
と、このようにして、海外に出るたびに、やはり自分たちのつくりあげている文化の特異さみたいなものを感じて帰ってきます。
「一目を気にする。周りの人に申し訳なくなってしまい落ち込んでしまう。」
こういう悩みって、あぴママの元に多く飛んできますが、ものすごーく日本的な悩みです。
特にいつかの国内線で見た泣きじゃくる母子の様子を、国際線で「エコノミーだし仕方ないだろう」という風情で、赤子の鳴き声を我慢している人たちに見せたら、目の玉むいてびっくりするんじゃないかなぁと思ったのでした。
ルークくん、ものすごくかわいかったです。わたしがひとり世話焼きおばさんをやって、お母さんにチョコレートなどせっせと運んだり、彼を抱きに行くようになってからは、少しだけ周りの空気が変わり、より多くの人が、お母さんに話しかけるようになりました。
空気を変えるのは本当に簡単なことで、ほんのすこしの動きが大きく浸透して波になっていったりしますから、人間というのは本当に面白いものです。トポスなんて作れてしまうんです。作られたものにただただ影響されて、めそめそ泣くものではないのです。
モロッコ旅行でのいちばんの思い出。泣きじゃくりながら大通りを歩いたときのお話はVoicyでしました。大人になってから、人前で思いきり泣くという経験などはふつうはありませんから、異常事態でございました。いちばんのあたたかな思い出です。