「我が子が社会的に振る舞えない」。
こういう育児相談がきました。そのことが原因で、親自身の人間関係にも支障をきたしたことがあるという相談者。すでに幼稚園を転園し、不幸な出来事は終わったとはいえ、いまだに当時の人間関係のいさかいにとらわれ心が苦しくなってしまっている相談者の悩みにあぴママが回答しました。
不愉快なできごとに心がとらわれてがんじがらめになってしまっているとき、私たちはどうすればそこから抜け出すことができるのか?
社会的に振る舞えない、思い通りに動かない子どもをどう解釈すればよいのか?
これをテーマにお届けします。
まずは相談文章と、それに関わるあぴママと相談者のやりとりをご覧ください。
あぴママ 様
いつも楽しく拝見させて頂いてます。
あぴママ様の記事にいつも助けられており、今回思い切って人生相談の申し込みをさせていただきました。
【相談内容】
現在4歳の子どもを育てております。
幼稚園に通っており、同じクラスのママ友の言動がどうしても許せません。全く付き合わないという事も出来ず、どのように付き合ったら良いのか悩んでおります。
子どもが幼稚園でした事を他のママ友もいる前で「〇〇ちゃんは園でちゃんと座っていなかったらしいね?、○○が出来なかったらしいね?」などど言ってきたり、ここには書き切れないほど嫌味な感じで子供の事を馬鹿にしてきます。
ママ友との付き合いに疲れて、幼稚園を転園しましたが彼女は自分のせいで転園したとは全く思っていないようです。彼女から連絡が来ても、返信しない事もありましたが、時間が経つと「最近どう?うちの子は色々習い事もして楽しく生活しているよ。」と言った感じで連絡が来たりします。
彼女が私の事をよく思っていないから、子どもの事を人前で馬鹿にしたりするのかもしれませんが、子供の事を人前で馬鹿にされた事は許し難く、彼女の言った言葉が頭から離れず子育てにも自信が持てなくなってしまっています。
またうちの子が悪い、事実だから言い返せないのは仕方がない。自分の育て方が悪かったんではないかとまで思うようになってしまいました。
他人から嫌な事をされたり、言われたりした時に引きづらずに、自分の気持ちも強くもつにはどのようにしたら良いでしょうか。
あぴママ様のご意見をお伺い出来ましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
人生相談を受付いたしました。ご相談いただきありがとうございます。
通常はいち往復のみなのですが、ママ友から言われたお子さんへの解釈の焼き直しが必要なのかもしれないと思いましたので、質問です。
以下をできるだけ詳しく挙げられますか?
- 彼女から言われたお子さんの問題行動、
- お子さんの欠点
- お子さんの長所
回答内容によっては私が考えていることに活かせないかもしれませんが一応聞いておきたいと思いました。
あぴママ様
回答いたします。
<<問題行動>>
幼稚園で座ってお絵描きをする際にお絵描きが終わると立ってしまった。折り紙が上手く出来ず、先生に手伝ってもらった。
<<長所>>
明るく優しいところ
泣いている子がいると大丈夫?と声をかけてあげたり気分の浮き沈みがあまりなく、いつも明るいところだと思っています。
<<短所>>
1つの事に集中すると、他の子に誘われても自分のペースで物事に取り組んでしまうところ。少し落ち着きがない。
あぴママの回答文章
人生相談サービスをご利用くださりありがとうございます。
相談文章を大切に拝読させていただきました。
まず結論のご質問「他人から嫌な事をされたり、言われたりした時に引きずらずに、自分の気持ちも強くもつにはどのようにしたら良いでしょうか。」への回答を昔描いたある漫画で換えさせていただきたいと思います。こちらです。
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しかしこの相談を読む限り、相談者にとってこの漫画のインパクトは弱いことだろうと思います。相談者の、不幸な出来事への精神的囚われ具合がものすごく強度であるように思えるからです。
したがって今回は個別に、第三者としてこの不幸な出来事に対するわたし個人の解釈を説明していき、相談者様を今に至るまで不幸にさせ続けている事案の再解釈に役立てていただけると嬉しいです。
なぜこんなに囚われているのか
嫌味をいってくるママ友。わざわざ彼女のために転園して直接的な関係はないのにかかわらず、相談者はいまだに現在進行形で彼女のことを恨んでいます。恨んでいるだけならまだしも、「うちの子が悪い、事実だから言い返せないのは仕方がない。自分の育て方が悪かったんではないか」と自分の現在進行形の子育てまで否定しかかっています。
これは、明らかに囚われすぎです。(もちろん「囚われすぎ」な状態にある相談者のことを否定する気はさらさらありません。)
なぜこんなに不要に囚われているのだろう、と考えたときにわたしの推測ですが、おそらく彼女のせいで労力を使い大幅に環境を変えたことへの恨み、そして彼女が否定してきた特徴を日々見せつづけるお子さんと接するなかで、お子さんの特徴が出たときに彼女の言葉がフラッシュバックするからではないかと考えました。
お子さんのなんらかの行動により、彼女の言葉が脳内を反復し、不要に咀嚼しなおし、心の中に怒りが生じる。「私の子どもは彼女に否定されるべきではないのに、否定された。悔しい。私はそのせいで環境まで変えた。悔しい。」
このような状態にあるなら、とても不幸な状態です。なぜなら出来事はすでに終わっているからです。
そして今ここから抜けださないと今後も怒りが持続し続けることが予想されるからです。基本的にお子さんの特徴はすぐに変わることはないでしょう。またまったく違う他者から同じ扱いを受ければ、怒りはさらに再燃しくすぶり続けます。それでもいいとは思いますが、この文章では、できるだけそうならないことを助けられるような調子で書いていけたらいいなと思います。
嫌がらせをした彼女の目的を考えてみる
相談者の文章を見ると、嫌がらせをした彼女は
「〇〇ちゃんは園でちゃんと座っていなかったらしいね?」
「○○が出来なかったらしいね?」
などとあげつらったようですね。おそらく座っていなかったことや何かをできなかったことは事実なのでしょうから、事実を述べただけというていです。
そこに「それは恥ずかしいことだね」などと解釈を付加してこなかったのであれば、客観的に見るとぎりぎりセーフという感じですが、そういう発言の数々を相談者様が嫌がっているということはきっと正常な感覚をもつ人間であれば気づいていたことでしょう。
仮に彼女が気づいていたと仮定するならば、相談者様の反応をみて楽しむ軽いいじめのような行為だったのだと思います。また社会的な観点から彼女の行為を考察してみると、おそらく集団行動についていけない個体を排除しようという欲求が暗に働いていたのかもしれません。きわめて動物的に思え嫌な気持ちになるかもしれませんが、これも群れ社会を生きる動物としての人間のありのままの姿だと思えます。
そういうふうにものごとを見ていくと、幼稚園を転園したのであれば、彼女の暗なる意図は叶ったということになります。
お子さんの特徴を再解釈する
挙げていただいたお子さんの特徴ですが、私の観点からはなんら問題とは思えませんでした。嫌味を言ってあなたをいじめた彼女の解釈ではなく、わたしの解釈を受け入れていただきたく、文章にしていきます。
<<問題行動>>幼稚園で座ってお絵描きをする際にお絵描きが終わると立ってしまった。折り紙が上手く出来ず、先生に手伝ってもらった。
私の解釈>>幼稚園は人間が集団行動においての社会性を初めて学ばされる場所だと考えています。そのあとえんえんつらなる義務教育では国の予算や既存のシステムの関係上、個別に子供達に教育を行うことが困難であるから、30〜40人に一気にものごとを教わることができるような人材を育成するための施設だととらえてもいいかもしれません。
おそらく相談者は我が子にそういう都合のいい人材になってほしいと願っているからこそ、お絵かきが終わると立ってしまう我が子を悲観視しているのだと思います。
しかし我が子の行動の動機をよく考えてみてください。「お絵かきが終わった。もう用は済んだのだから立ち上がっておもしろいことを探そう。」これってかなり合理的じゃないでしょうか?
心が自由な子どもの合理性はいったい誰が認めてやればいいのでしょう。
早期段階から合理性を失い始める子どものほうが、よっぽど問題であると私は解釈しています。わたしのもとには、早期段階から合理性を失い、失った合理性を30代以降も探し続け悩み続ける人がたくさん相談にきますよ。自分が何をしたいのか、何に取り組んだら楽しい気持ちになるのかがわからないという問題を抱える人々です。
現在の段階で相談者の意図どおり、お子さんが彼女ならではの合理性を失ったとすれば、お子さんの30代以降に、なにかのクライシスを迎えることも予想できます。それは必ずしも喜ばしい未来ではないのではないでしょうか。
どうぞこちらについてよく考えてみてもいいかもしれません。
<<長所>>明るく優しいところ。泣いている子がいると大丈夫?と声をかけてあげたり気分の浮き沈みがあまりなく、いつも明るいところだと思っています。
わたしの解釈>>泣いている子に声をかけるのであれば、それは共感性が高いということですよね。共感性が高いのに、気分の浮き沈みがないということは、負の出来事にはあまり影響されず、正の出来事にのみ自然と目を向けるような設計になっているのでしょうね。それは天性だと思います。とても素晴らしいことのように思えます。
<<短所>>1つの事に集中すると、他の子に誘われても自分のペースで物事に取り組んでしまうところ。少し落ち着きがない。
わたしの解釈>>そのまま集中させておいた方がいいと思います。たとえば相談者様は、自分がなにかに夢中になって取り組んでいるときに誰かから何かに誘われて作業を中断せざるをえなくなってしまうとき、どうされますか?おそらく相談者様なら躊躇なく中断することでしょう。しかしそれは相談者様にとって幸せなことですか?
集中したいときに集中させてもらえないからこそ、成長するにつれ集中力を失った大人が社会では量産されています。Amazonで「集中力」という言葉で検索されてみてください。何百冊とヒットしますよ。ああいうものは、本来必要ないものです。
集中力は人間に自然と具備されているものです。好きなだけお子さんに集中させてあげてほしいです。有料記事ばかりで恐縮ですが、こちらをぜひご参照ください。
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結論
お子さんは、全体的に素晴らしい子だと思います。特性をそのまま生かすような子育てをしたらいいと思います。おそらく相談者様はそうとう社会的な性格でいらっしゃいますね?反対の傾向を示すお子さんの子育てはとても大変なことでしょう。
小さい頃のあぴちゃんによく似ています。育てるのとても大変ですよね。ハラハラしますね。とてもよくわかりますよ。しかし、お子さんのポテンシャルをそのまま生かしたいのであれば、自分の嗜好よりお子さんのニーズに重きを置いたほうが良いと思います。
集団についていけない子どもを排除しようとする動きは、今後もある程度予想しておいたほうがいいと思います。転園は英断だったとは思いますが、それは転園先があるならの話です。
転園を繰り返すといつしか転園先がなくなります。自分のお子さんを肯定してください。なにか言ってくる方がでたら、いちばん最初に紹介した記事を読んで、投げかけられた嫌味を無効化してください。
お子さんとご自身の楽しい将来をわたしも祈っております。(のちほど有料記事を二個分プレゼントします。お待ちくださいませ。)
あぴママより。
(こちらの文章は、人生相談サービスの利用者への回答のコピーです。サービスのご案内はこちら。)