今となってはとても古典的なアニメなのではないでしょうか。ディズニーの「不思議の国のアリス」を観ました。
これ、きっかけがないと自分からは絶対観ないだろうなという類の映画なのですが、創作仲間であり仕事上の付き合いもある二郎くんがたまたまDVD屋さんで見かけたから観たということを聞きましたから、じゃあ私も観るかと思い、観ました。結果、とてもよかったです。これは、折に触れて見返すのでは…?と思えるほどよかったです。
おそらく20代前半の頃、わたしはこのディズニーの「不思議の国のアリス」を絵本仕立てにしたものを読み、大まかなストーリーをざっと知ったように覚えております。
その当時のわたしが感じたのは、「不思議の国のアリス」という作品はそもそもの起源をたどると、おそらく教訓も共感も意図されて作られていないもので、ただ作者が自由な発想をもとに筆の赴くまま書き散らした類の、いわば「ナンセンスの大作」のようなものなんだろうなということです。
20代の頃の自分は、ナンセンスからナンセンスに移行し、ナンセンスに物語が終わっていく。そういうことをただただ感じたような記憶があります。まぁ、おもしろいなと。このナンセンスの塊のようなものに世代を超えて人々が、おもしろさを見出し、何度も何度もリメイクしていき、今では世界中の誰もが知る作品になっているわけですから。
作者が生きていらっしゃったら「どっひゃー」だったろうな、などと思っていたわけです。(不思議の国のアリスになんらかの意味ある筋書きを見出し、研究されている方が読者にいらっしゃったら申し訳ないです…)
そしてそこから20年近くたち、まぁまぁ真剣に見返したところ、自分の感想が変わっているわけです。いやぁ、本当におもしろかった。
ここから先は、原作の筋書きに関してというより、ディズニーの「不思議の国のアリス」に対する感想になります。
初めてディズニーの「不思議の国のアリス」を知り、20年近く経ち、脳みそがより大人になったであろう私から見ても「やはりそもそもの物語はナンセンスで構成されているのだろう」、この見解は変わりません。おそらくこの作品には教訓も共感も意図されていず、非常に純粋な大人の遊びの延長でつくられている、こう感じました。
まあしかしおもしろいのが、そういう前提を十分にわかりつつ、自分の脳みそが勝手に意味を付加しはじめ、読み取り、勝手気ままに奥深さを追求し始めるということです。
たとえば、色とりどりの花から歓待を受けたはずであるのに、よくわからないタイミングで花々の態度が急変し「雑草」と呼ばれたあげく、花園から追い出される羽目になるアリス。
この場面では「人間による、急でありかつよくわからないタイミングでの排他的ふるまいの骨頂だな」とかね。
364日存在する「誕生日ではない日」を永遠に祝い続ける狂気のマッドハッターとのお茶会。
この場面の会話はほんとうに究極のナンセンスなんですが、「人間との会話をいかにナンセンスに持っていくかの奥義がすべて詰まっている場面だなぁ」とか。
自分の気に入らない部下の首をかたっぱしからはねていく女王なども最高にコミカルに描かれていてとてもおもしろい。
昔ながらの映像もものすごくよくて、森の中で迷うアリスのもとに寄ってくる鳥たちのこれまたナンセンスなデザインが私にとっては最高にツボでした。見ているだけで笑ってしまう感じ。
個人的には、可愛くデザインされた牡蠣たちを悪い奴がこともなげに食べてしまう、最近の子供むけの映画ではあまり見かけない倫理観のなさもいいなぁ、と思いました。
70分くらいの映画だったのですが、細部に、つまりいたるところに、制作した人間のデザインセンスとか、こちらを笑わせにかかるホスピタリティを感じ、終始ニッコニコで観続けることができました。
万人にお勧めというわけではないけれど、意外に、本当に意外にめちゃくちゃ楽しんだよ、という記録です。隣で観ていた小学六年生のあぴちゃんは「この映画、うちには難しいわ。」とつぶやいておりましたから、この映画は最近では、6才以下か、もしくは一周まわって40才以上の変な大人しか楽しめないのかもしれないな、とも思えました。
つまりこれは、なんらかの腑に落ちる結末や共感や教訓を与えてくれるわかりやすい作品ではありません。ですから、アナだのモアナだのとは違います。しかし、ナンセンスの世界にしばしトリップしたい方には、おすすめできます。
素晴らしい作品に出会うと、わたしはいつも、どうやってその作品に出会ったのかというきっかけに思いを馳せるのですが、今回のきっかけは友人がDVD屋さんにいって、目当てのDVDがなかったからアリスを借りた、と。そしてその情報をひょんなことから私が仕入れたことにより観ることにいたったわけですから、彼の目当てのDVDがなかった時点で、あるいはもっと前から、私がアリスに出会う可能性が生じていたことになるわけです。
こうしていろいろと考えていくと、ほんとうの偶然ってあるのかな、という気になってきます。今回はこれが不思議の国のアリスでしたが、どの作品であってもこういうことを考えます。かなり、ひょんなことをきっかけに素晴らしい作品に出会う。そしてそれらが微妙にわたしの人生に影響してかかる、と。
まぁ、なにを言いたいかというと、どんな作品もきっかけもウェルカムです。なにか面白いご自身にとって大切な作品がある方はどうぞあぴママにも教えてください、ということです。興味を惹かれたら観て、感想を記していきたいと思います。
わたしが今特に求めているのは、めちゃくちゃに笑える海外ドラマです。でも、笑えなくてもどんなものでもウェルカムです。
今日は、お出かけの記録を書きます。漫画ではないです。 神奈川県は箱根、ポーラ美術館に若年のピカソの絵を観にいってまいりました。ピカソといえば、キュービズムの先駆者として、斬新な手法で絵を描いたことで知られている著名な画家(というか巨匠)です[…]