この投稿は「やってのける」という本の紹介です。
私は楽観思考なので、「楽観的予測をもっていたほうがパフォーマンスが向上するよ」というアドバイスを子に行うことがたびたびありました。しかし自分の考えが間違っていたかもしれないなぁと、先日、本を読んでいて気づかされました。今日はその本のお話をしようと思います。
この本は人間の心の仕組みや脳の仕組みを詳しく知って応用することで、がんばることなく目標を達成してしまおうという趣旨の本なのですが、ある章のみ、子育てにとても有用であるように思ったので、今回はこの章にしぼって紹介します。
獲得型と防御型
この本では、たいていの人の傾向は獲得型かもしくは防御型かに偏りを見せると説明されています。
人間の究極的目標として「愛されたい」と「安全でありたい」という二つの目標があるとすれば「愛されたい」に偏重を見せるのが獲得型です。獲得型の人は「何かを成し遂げる」「理想的な能力を身に着ける」などを達成することで他者からの称賛を得て、愛情を得ようとします。
一方、防御型は「安全でありたい」という目標に偏重を見せます。失敗しない限りは問題は起こらず平和と安全に満たされると考え、「失敗しないこと」にフォーカスします。
目標がちがうので行動パターンにも明確な違いが出るそうです。獲得型は、他者から称賛されるとモチベーションが高まります。そして困難に直面するとあきらめやすくなるという傾向があります。一方、防御型は、他者からの批判や邪魔によってモチベーションが高まり、困難に直面しても簡単にはあきらめないという性質があるようです。
最も興味深いのは、獲得型が楽観主義との相性が非常によく、楽観主義によってモチベーションが高まることに対し、防御型には楽観主義が逆効果になるというところです。防御型にとって過度な楽観は油断につながるため、やや悲観的なくらいの見込みを持つこと、そして適度な邪魔がパフォーマンス向上のきっかけになるそうです。楽観主義は万能ではないということを意味していると思います。ふたつの傾向の違いは以下のとおり。
子育て次第で子どものタイプが変わる
非常に面白いことに、この傾向は子育てによっても違いが出るようです。獲得型を示すこどもは、正しいことをしたときに称賛や愛情を与えられ、悪いことをしたときに称賛や愛情を保留されるというアプローチによって育てられた子どもだそうです。
反して、防御型を示す子どもは、悪いことをしたら罰され、正しいことをしたら罰されないというアプローチをとって育てられた子どもだそうです。子どもは親から求められていることをすれば罰を与えられないため、必然的に「失敗しない」ことを目指すようになるそうです。
この辺は本にさらに詳しく書かれております。
結論
子どもを型にはめて理解するのはとてもよくないことだと思います。こういったものをみてしまうと、「ふむふむ我が子はこっちの傾向なのね、ならこうしよう。」となってしまいそうにもなりますが、よくよく観察してみるとどちらか一方ではなく両方の性質を見せてくれたりするものです。
しかし、我が子と自分があまりに反対傾向を示すのであれば相互理解のためにもこうした傾向を知識として頭に入れておくと子育てもはかどりそうです。少なくとも私に関しては、自分の楽観思考を押し付け気味だったかな、などと反省するきっかけになりました。
本の全体的な内容としては、既存の自己啓発書をギュギュギュッとまとめたような内容で、下手な自己啓発書を何冊か買うよりはこれ一冊でよいのではないか、と思えるようなものでした。なにか目標があり、自己の傾向を知ることで少しでも楽に目標を達成したい方にオススメの本です。
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