










我が家の犬は保護犬で、元は、茨城県の里山をうろついていた野犬でした。保護犬をひきとるのは、タイミングの要素が大きく、さして容姿を選べる感じでもありません。とにかく我々が犬を迎える準備ができたとき、白くてもぞもぞしてるネズミみたいに小さな子犬が飼い主募集されていました。そうしてやってきたのが、我が家の犬です。
その犬が成長して、容姿がどんどん、自分の実家でいっしょに育った犬に似ていったときは、驚いてしまいました。
本当にそっくりなのです。
私は、実家で飼っていた犬が大好きでした。
似ているからって、前の犬の与えてくれた喜びと、今の犬が与えてくれる喜びは別個のものです。前の犬が天国にいったことにより、自分の心にあいた穴は埋まるわけではありません。
それでも、今の犬は、私の心に新しいスペースを設けてくれました。
今の犬は、甘えん坊なので、たびたびギュッと抱きしめるとき、ずっとあの子を抱きしめたいと思っていた自分の気持ちを思い出します。
別にその願いに執着していたわけでもないし、ずっと忘れていた、実現するとも思っていなかった願いです。それが毎日かなうとき、なんだか本当に不思議な気分になります。
前の犬との出会いと生活、今の犬との出会いと生活、それらはすべてもともと決まっていたことなんじゃないか、とも思えます。
やっぱり犬と暮らし一緒に育ってきたからなのでしょうが、今、この犬がやってきて数か月、わたしの人生が、ずっとわたしらしい人生になったと感じます。言葉にならないのだけど、犬が目の端にうつる状態が、わたしにとってはずっと自然なことなんです。
この犬がきてよかったな、とようやく思えている昨今です。
わたしの犬漫画、こんなのもあります。こちらはプチ怪談です。